1 法規関係
第1章:学校教育法(教育現場運営の根幹)
1. 第1条(学校の目的)
学校は、教育基本法の目的を実現するため、各種の教育活動を行う。
2. 第21条(義務教育の授業料無償)
義務教育においては、授業料を徴収しない。
3. 第28条(校長の職務)
校長は、校務をつかさどり、所属職員を監督する。
4. 第37条(教頭の職務)
教頭は、校長を助け、必要に応じて校務をつかさどる。
5. 第50条(校長の職務に関する責任)
校長は、学校の運営に責任を負い、教育課程の編成・実施に責任を持つ。
6. 第49条(教育課程)
教育課程は、文部科学大臣が定める基準に従い、各学校の設置者が定める。
⸻
🔷 第2章:教育基本法(教育の理念と方向)
7. 第1条(教育の目的)
教育は、人格の完成を目指し、公共の精神を尊重する人間を育成する。
8. 第4条(教育の機会均等)
教育上差別的な取り扱いをしてはならず、経済的理由により教育の機会を奪われないようにしなければならない。
9. 第10条(家庭教育)
保護者は子の教育について第一義的責任を有し、学校・地域と連携することが望まれる。
10. 第14条(教育行政)
教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に責任を負って行われる。
⸻
🔷 第3章:地方公務員法(服務規律・人事管理)
11. 第30条(服務の根本基準)
職員は全体の奉仕者として、公共の利益のために勤務する。
12. 第31条(法令及び上司の職務命令の遵守)
職員は法令及び上司の職務上の命令に従わなければならない。
13. 第33条(信用失墜行為の禁止)
職員は、職員としての信用を損なう行為をしてはならない。
14. 第34条(守秘義務)
職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。
15. 第35条(職務専念義務)
職員は、勤務時間中は職務に専念しなければならない。
16. 第38条(政治的行為の制限)
職員は、政治的中立性を保つ義務を負う。
17. 第29条の3(懲戒処分の種類)
戒告、減給、停職、免職の4種類が定められている。
⸻
🔷 第4章:教育公務員特例法(教職員の特性に基づく規定)
18. 第4条(校長・教頭の職責)
校長は教育活動の中心として、教職員を指導・監督する責任を持つ。
19. 第9条(研修の義務)
教育公務員は、その職責を遂行するため、研修を受ける義務がある。
⸻
🔷 第5章:学校保健安全法(健康・安全管理)
20. 第13条(健康診断の実施)
学校は、定期的に児童生徒の健康診断を実施しなければならない。
21. 第20条(感染症による出席停止)
感染症にかかった児童生徒は、出席停止の措置を受ける。
22. 第29条(災害・事故時の措置)
校長は、非常災害時に応じて、必要な措置を講じなければならない。
⸻
🔷 第6章:学校教育法施行規則(運営細則)
23. 第52条(教育課程の編成・実施)
校長は、学習指導要領に基づいて教育課程を編成・実施する責任を負う。
24. 第56条(児童の登校状況の把握)
校長は、出席状況を把握し、長期欠席者には必要な対応を行う。
⸻
🔷 第7章:いじめ防止対策推進法
25. 第8条(基本方針の策定)
学校はいじめ防止等のための方針を策定することが義務づけられている。
26. 第22条(重大事態の報告)
いじめによる重大事態が発生した場合、調査を行い、設置者を通じて報告しなければならない。
⸻
🔷 第8章:児童虐待の防止等に関する法律
27. 第6条(通告義務)
児童虐待が疑われる場合には、市町村や児童相談所に通告しなければならない。
⸻
🔷 第9章:労働基準法(教職員の働き方改革対応)
28. 第32条(労働時間の原則)
労働時間は1日8時間、週40時間を超えてはならない。
⸻
🔷 第10章:個人情報保護法・情報セキュリティ関連
29. 第16条(利用目的の特定)
個人情報は、その利用目的を明確にして取り扱わなければならない。
30. 第20条(安全管理措置)
個人情報を安全に管理し、漏えい・滅失を防止しなければならない。
2 最近のテーマ
①「多様な子どもたちを包摂する学校づくり」について、管理職としての具体的なビジョンと実践を述べよ。
▶ 背景:特別支援教育、外国籍児童、LGBTQ、家庭環境の多様化など。
▶ キーワード:インクルーシブ教育、合理的配慮、ユニバーサルデザイン。
⸻
② 教職員の働き方改革を進める上で、管理職としてのリーダーシップをどう発揮するか。
▶ 背景:教職員の長時間労働解消、業務の適正化。
▶ キーワード:チーム学校、業務改善、マネジメント、タイムマネジメント。
⸻
③ 学校における「危機管理」のあり方と、管理職としての初動対応の在り方について述べよ。
▶ 背景:不審者対応、自然災害、感染症、SNSトラブル。
▶ キーワード:危機対応マニュアル、保護者対応、情報共有。
⸻
④ 「学びの保障」とは何か。コロナ後の教育で求められる校長・教頭の役割を述べよ。
▶ 背景:不登校増加、学力差拡大、オンライン活用。
▶ キーワード:個別最適な学び、ICT活用、家庭との連携。
⸻
⑤ 地域とともにある学校づくりの推進に向けて、管理職として取り組むべき施策を述べよ。
▶ 背景:地域学校協働活動、学校運営協議会の活用。
▶ キーワード:地域資源の活用、共育、開かれた学校。
⸻
⑥ いじめや不登校への組織的対応について、管理職としての視点で述べよ。
▶ 背景:いじめ重大事態の報告義務、不登校児童生徒の支援策拡充。
▶ キーワード:未然防止、早期対応、教育相談体制、関係機関との連携。
⸻
⑦ 子どもたちの「主体的・対話的で深い学び」を実現するための校内体制づくりを述べよ。
▶ 背景:新学習指導要領の浸透と実践的課題。
▶ キーワード:授業改善、カリキュラム・マネジメント、校内研修。
⸻
⑧ 教職員の「人材育成」における校長・教頭の役割と、若手教員の支援の在り方を述べよ。
▶ 背景:若手教員の離職、メンタルヘルス問題、初任者支援。
▶ キーワード:伴走型指導、人材育成サイクル、組織的支援。
⸻
⑨ 校長・教頭としての「法的責任と説明責任」について、具体的場面を挙げて論じなさい。
▶ 背景:情報開示、訴訟リスク、学校事故、保護者対応の厳格化。
▶ キーワード:リスクマネジメント、報告義務、ガバナンス。
⸻
⑩ 学校を「魅力ある学びの場」とするための学校経営ビジョンを述べよ。
▶ 背景:少子化、学校選択制、特色ある学校づくり。
▶ キーワード:特色化、教育の質保証、学校評価と改善。
最近の動き
① 教職調整額の見直し
教職調整額の改善と教員の働き方改革
教職調整額は長らく「4%」の固定支給でしたが、実態と乖離があるとの指摘から見直しが進められています。国は、教員の長時間勤務の是正と適正な待遇保障を目的に、新たな「勤務実態に応じた手当」の制度設計を検討中です。教員の多様な働き方や専門性を評価する仕組みづくりが、質の高い教育実現の鍵となります。
② 学校における働き方改革の推進
持続可能な学校運営に向けた働き方改革
教員の長時間労働を是正し、教育の質を高めるため、勤務時間管理の徹底や業務削減が推進されています。部活動の地域移行やICTの活用、業務の外部委託化など、学校の役割を見直す取り組みが全国で展開中です。子どもたちと向き合う時間の確保と、教職員の健康維持が両立する働き方が求められます。
③ 不登校児童生徒の成績評価の法制化
不登校でも学びは保障される社会へ
不登校の児童生徒に対しても、出席に代わる多様な学び方(オンライン学習・フリースクール等)を正当に評価する制度整備が進められています。文部科学省は「不登校=学んでいない」という固定観念を改め、成績評価の多様化・柔軟化を法的にも裏付ける方針です。個別最適な学びの保障が重要視されています。
④ ヤングケアラーの法制化
家庭のケアを担う子どもたちへの社会的支援
ヤングケアラー(家族の世話を日常的に担う子ども)の存在が社会課題として注目され、法整備による支援体制強化が進んでいます。自治体・学校・福祉機関の連携による早期発見と支援、教育との両立支援が重要視されています。教育現場でも教職員の理解と対応力の向上が求められ、子どもの権利保障の視点が不可欠です。
⑤ 子の看護等休暇の見直し
家庭と仕事の両立を支える制度の拡充
これまで「未就学児」対象だった子の看護休暇が、「小学校就学後」も対象に拡大される見直しが検討されています。多様な家庭事情や子の病気・障がいへの対応に配慮し、柔軟な取得制度(時間単位取得など)も進んでいます。育児と就労の両立がしやすい職場環境づくりは、教育現場の働きやすさにも直結する課題です。